シーシャ屋のメニューを開くと、だいたいどこかに「ダークリーフ +○○円」という一行があります。そして、その筆頭に置かれているブランドがたいていDARKSIDE(ダークサイド)です。
追加料金を払ってでも指名される。上級者ほど戻ってくる。ロシア発のこのブランドが、なぜここまで人気なのか——歴史・葉の作り・美味しく作るための火加減まで、ぜんぶまとめました。
DARKSIDE とは:ロシア・ニジニノヴゴロド発の"濃い側"
DARKSIDE は、ロシアのニジニ・ノヴゴロドを製造拠点とするシーシャタバコブランドです。2015年にオリジナルのダークタバコを市場投入してブランドとして本格展開を開始しました(企業としての起点は2012年)。研究開発はモスクワのラボで行われています。
現在では自ら「ロシア最大級のシーシャ用たばこ供給者」を名乗る規模になり、DARKSIDE 本体のほかに Daily Hookah(現 Starline)、D-Gastro、D-Mini、さらにアパレルライン The Other Outfit まで展開しています。シーシャブランドというより、ひとつのカルチャーブランドに近い立ち位置です。
DARKSIDE 基本データ
そもそも「ダークリーフ」とは何なのか
ダークサイドの人気を理解するには、まず葉の話をしないといけません。シーシャに使われるタバコ葉は、大きく2系統あります。
ブロンドリーフ(バージニア種)は糖分を最大20%も含み、洗浄工程でニコチンを落としてあります。甘くて香りが立ちやすい代わりに、糖分が多いぶん焦げやすい。
対してダークリーフ(バーレー種)は糖分が1〜2%しかなく、エアキュアリングで6〜8週間かけて自然乾燥させます。洗浄していない葉をブレンドするためニコチンが濃く、味わいはドライで、葉そのものの旨味が前に出る。ニコチン量はブロンドの約10倍とも言われます。
ダークサイドが人気な4つの理由
理由1|熱耐性が高く、最後まで味が落ちない
これが最大の理由です。糖分が少ないぶん焦げにくく、多少熱を入れても味が崩れません。1時間半吸っても後半がヘタらない——ブロンドリーフだと30分で味が飛んでしまうような火力でも、ダークサイドは持ちこたえます。長居するお客様ほど、この差を実感します。
理由2|味の輪郭がはっきりしていて、ミックスで埋もれない
ダークサイドの味付けは、良い意味で分かりやすい。輪郭がくっきりしているので、他ブランドと混ぜても自分の役割を見失いません。ミックスの「主役」を張れる数少ないブランドです。
理由3|キックが強い=「吸っている感」がある
ニコチンが濃いぶん、喉の奥にくる刺激がはっきりしています。この「ガツンとくる感じ」を求めて、ブロンドリーフから移ってくる方が非常に多い。ただしこれは諸刃の剣でもあります(後述)。
理由4|銘柄が多く、日本で安定して手に入る
ラインが多く、味の選択肢が広い。しかも日本国内の流通が安定していて、100g/30gで複数の専門店が取り扱っています。「気に入ったのにもう買えない」が起きにくいのは、お店にとってもお客様にとっても大きい。
ラインナップ:どれを選べばいい?
| ライン | 強さ | 葉・カット | こんな人に |
|---|---|---|---|
| Core | 中 | バーレー+バージニア/細カット | ブランドの基準ライン。まずここから |
| Shot | 中〜軽め | バーレーのみ/中カット | 完成ミックス。混ぜずに単品でいける |
| Xperience | 中程度 | Core原料ベース | Coreの延長で冒険したい人に |
| Sabotage | 最強 | 高強度ブレンド | 強いのに喉当たりは穏やか。上級者向け |
※旧 Soft(Base から改称後に廃番)、Rare も現在は廃番です。
人気の銘柄
国内で指名が多いのは Supernova(強烈なミント系)、Bounty Hunter、Torpedo あたり。Sabotage ラインでは Root Bear(ルートビア系)、Kvassica(ロシアの発酵飲料クワス系)、Shaolime(ブラックティー&ライム)が高い評価を得ています。
日本ではどう広まったか
日本のシーシャシーンは長らく、アルファーヘル(UAE)やナクラ(エジプト)といった中東系のブロンドリーフが標準でした。甘くて軽く、誰でも吸える。それが「シーシャの味」だった時代です。
そこに2010年代後半、ロシア系ブランドが専門店経由で入ってきます。ダークサイド、セベロ、デウス、マストハブ——「濃い」「キックがある」「味がはっきりしている」という、それまでと真逆の価値観でした。
最初は一部の専門店とヘビーユーザーの間だけの話でしたが、SNSで「ダークリーフ」という言葉が広まり、各店が「ダークリーフ +○○円」というオプションメニューを作るようになります。今では、シーシャに通い慣れた人が2〜3回目に必ず通る道になりました。当店でもダークリーフは +¥500 でご用意しています。
美味しく作るには:火力・量・詰め方
ここが本題です。ダークサイドは「作り方を間違えると、いちばん不味くなるブランド」でもあります。理由は単純で、強いから。
炭は大きめを3個、必要なら4個
ロシア系タバコは高い火力を必要とします。25mmまたは26mmの大きめのキューブ炭を3〜4個。ブロンドリーフの感覚で2個にすると、熱が通りきらず「生焼け」になり、味が薄いのにイガイガする、という最悪の状態になります。
詰め方は「ふんわり」、フチから5mm
火力を上げるぶん、空気の通り道は確保しておく。押し込むと熱がこもって一気に焦げます。フチから5mm下げるのは、ブロンドリーフ以上に重要です。
いちばん大事:単品で吸わない
ダークサイドは味が強すぎるので、単品だとほとんどの人が「濃すぎる」と感じます。定番の解決策は、他ブランドと混ぜること。
初心者向けの黄金比
DARKSIDE 20〜30% + 他ブランド 70〜80%
たとえばセベロのようなすっきり系・クリーミー系をベースにして、そこにダークサイドを2〜3割。これだけで「キックはあるのに飲みやすい」一台になります。ダークサイドの強さを"味の芯"として使い、輪郭は他ブランドで整える、という考え方です。
味が飛んだ・焦げたときは
- 苦い/エグい=熱の入れすぎ。炭を1個減らすか、外側へずらす
- 煙が薄い/イガイガする=生焼け。炭を足すか中心寄りに。ダークリーフでは意外とこちらが多い
- 後半に味が落ちた=灰が溜まっている。炭の灰を落として位置を入れ替える
当店でのダークサイドの楽しみ方
当店はロシア系ブランドを厚めに揃えています。DARKSIDE のほか、DEUS(繊細な香料設計でプロ使用率が高い)、MUSTHAVE(味が直線的でミックス耐性が高い)、SEBERO(爽快系・クリア)、デイリーフーカ。ダークリーフは +¥500 です。
シグネチャーミックスの「オトナのほろにがチョコガナッシュ」(¥3,000)——チョコケーキ × オレンジ × ニードルス × オリーブ——も、ダークリーフを使った一台です。カカオ感にオレンジの華やかさを乗せた構成で、ウイスキーのボトルイン(+¥1,200)との相性が抜群です。
はじめてダークリーフを吸う方へ
- 空腹では吸わないでください。ニコチンが濃いぶん、確実にクラクラします
- 水分を必ず取りながら。お冷やはいつでもお声がけください
- 1台目からダークリーフは、正直おすすめしません。2回目以降に
- 頭痛・立ちくらみを感じたらすぐに中断して、外の空気を吸ってください
「ダークサイドって何がそんなにいいの?」——その答えは、正直なところ一度きちんと作られた一台を吸ってもらうのがいちばん早いです。函館・大門で気になったら、「ダークリーフで」とだけ言ってください。強さの加減はこちらで調整します。